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ITアーキテクト 鈴木雄介のブログ

アーキテクチャ設計のジレンマと拡張構造としてのマイクロサービスアーキテクチャ

2016年10月24日のQCon Tokyo 2016にて「今どきのアーキテクチャ設計戦略」という講演をさせていただきました。 アーキテクチャ設計のジレンマ 伝統的に、アーキテクチャ設計というのは設計や実装に先立って事前的に行われる必要がある、とされています。設計…

デブサミ関西2016「クラウドの発展とデベロッパーの役割について」

JavaOneに来ていますが、満席で入れなかったのでデブサミ関西2016の話を。「デブサミへの帰還。」というエモいエントリが上がっていますが、たしかにデブサミ育ちとしては、デブサミに呼んでもらえる、それも基調講演というのは非常にありがたい話です。その…

エンタープライズにおけるマイクロサービスアーキテクチャについて

エンタープライズ業界でもマイクロサービスアーキテクチャの議論が盛り上がりはじめてて、それは良いのですが、やはり本質的ではない技術論にばかり夢中になっている気がしています。 エンタープライズシステムの現状 モノリシックな巨大システムでは一部分…

ウィトルーウィウス 建築書

ウィトルーウィウス建築書 (東海選書)は建築家ウィトルーウィウスによって紀元前30年頃に書かれた書籍で、最も古い建築書として知られてます。松岡正剛による書評(778夜『建築書』ウィトルーウィウス|松岡正剛の千夜千冊)が素晴らしいので加えることもない…

Cloud First Architecture設計ガイドが発売(8/25)されます #cfadg

本を書きました。2016/8/25に発売されます。ハッシュタグは #cfadg (Cloud First Architecture Design Guide)でお願いします。Cloud First Architecture 設計ガイド作者: 鈴木雄介出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2016/08/25メディア: 単行本この商品を含…

ウォーターフォールとアジャイルを考える

初めて単独主催の勉強会をしました。ワークショップなので後半の1時間はディスカッションにしたのですが40人のわりには、それなりに面白い話ができた気がしています。資料とワークの結果、あとTogetterは以下から。 togetter.com 今回のプレゼンは純粋な「プ…

JJUG CCC 2016 Springで基調講演してきた

JJUG CCC 2016 Springで「JJUG運営の戦略と戦術」という内容で基調講演をしてきました。資料はこちら。 資料の訂正としては6ページ目にある参加者が「700名予定(申込:1,233名+α)」は「810名(申込:1,267名)」で確定しました。昨年は670名ぐらいで安定…

マイクロソフトのネット配信に出てみた件

マイクロソフトの寺田さんと牛尾さんにお呼ばれして、Azure Minutesというネット配信番組に出演してきました。光栄なことに第1回ゲストです。 日本 Java ユーザーグループの会長を務め、IT アーキテクトとして著名な鈴木 雄介氏をお招きし、IT アーキテクト…

JJUG CCC 2015 Fallご報告

2015/11/28(土)にJJUG CCC 2015 Fallをベルサール新宿グランドにて開催しました。セッション30個、ハンズオン2個、ブース4社、スポンサー11社という規模になり、参加677名(登録1129名)という結果でした。ご参加いただいた皆様、セッションをしていただい…

ソフトウェア開発におけるデザイン視点の変化

2015/11/14(土)に開催されたJavaOne2015報告会で話をしてきました。資料は以下。 この資料を作る中で気づいたというか、思ったことは、この20年でソフトウェア開発におけるデザインの視点が変化しているな、ということです。 ユニットテストとDIコンテナが…

エンタープライズにおけるDevOpsとマイクロサービス - JavaOne2015レポート

バズワード過ぎてタイトルにするのも憚られるのですが、JavaOne2015でキーワードになったことは間違いないので...。JavaOne2015でもDevOpsやマイクロサービスについてのセッションが多く見られました。昨年はマイクロサービスというとWebアプリケーションフ…

JavaOne2015のサマリ

2015/10/25-29日で行われたJavaOne 2015に参加してきました。来年のJavaSE 9および再来年のJavaEE 8に向けた端境期であったこともあり、近年まれに見る発表要素の少ないJavaOneでありました。特に初日のキーノートでは、Java 20周年であったことから、スコッ…

柔軟なウォーターフォールはアジャイルと見分けがつかない

2015年10月21日に行われたエンタープライズアジャイル勉強会2015年10月セミナーでの講演『エンタープライズアジャイルと全体最適について ~アーキテクチャ設計とウォーターフォールの必要性~』のレポートです。資料は以下。 講演の後の懇親会で「計画的な…

アーキテクチャ設計の意味を問う - クリストファー・アレグザンダーの思考の軌跡

建築家クリストファー・アレグザンダーが「パターン」という概念を広め、それがウォード・カニンガムとケント・ベックによってソフトウェア開発のデザイン・パターンに応用されたことをご存じの方も多いでしょう。(ご存じでない方には、江渡さんの「パター…

企業システムとマイクロサービス #DF15

Salesforce.comのグローバルイベントであるDreamforce 2015(2015/9/15-18)に初参加してきました。仕事ではAWSもAzureも使うのですが、今回は最近なにかと縁があるSalesforceの雰囲気を感じに。現地では事例セッションを中心に聞いて回りました。ご存じの通…

マイクロサービスアーキテクチャとは何か

マイクロサービスアーキテクチャ(以下、MSA)という言葉を聞くようになりました。きっかけはファウラーのブログ「Microservices」(2014年3月)ですが、昨年10月のJavaOne SFでも多くの講演でMicroservicesという言葉を聞かれ、多くのエンジニアがすぐに共…

ITサービス運営におけるアーキテクチャの役割

2014年11月15日に開催されたJJUG CCC 2014 Fallにて「Javaエンジニアのためのアーキテクト講座」と題して発表を行いました。資料は以下です。 「良いアプリケーションを作る」時代から「良いITサービス運営を実現する」時代になったことで、アーキテクトの役…

アーキテクチャのトレンドサマリ(2014)

今年はJavaOneに参加できたので、標準Java系は詳しい人に任せて、僕はアーキテクチャ関連の技術紹介や事例系のセッションを回ってきました。このサマリをJavaOne 2014 サンフランシスコ報告会 Tokyoにて発表しています。資料はこちらから。 動画はこちらから…

アジャイルが否定したものを見直そう

2014/9/6に開催されたXP祭り2014で「アジャイルを手放して得られたこと」という講演をしてきました。Togetterはこちらから。 元々は「アジャイルのダークサイド」の話がしたくて応募したのですが、その後、いろいろと考えているうちに僕自身にも気づきの多い…

組織をプロダクトオーナーにする、ということ[修正あり]

2014年7月31日(木)に開催された「Developers Summit Summer 2014」(通称:夏サミ)にて、「創業122年の企業と顧客価値にコミットした開発を実現する試みと成果について」という講演をしてきました。資料と動画は以下から。 講演には弊社の顧客である(株…

「納品」をなくさなくてもうまくいく

倉貫さんから直接献本をしていただいきましたので感想がてらに。 本書はいわゆる“アジャイル”を清く正しく実践している実績と、その仕組みを丁寧に解説した本です。しかも、開発体制は「事業会社の内製化」ではなく「外部のソフトウェア開発企業を継続的に利…

ベネッセ事件はITマネジメントの課題として語るべき(追記あり)

思ってたより衝撃的だったのでブログを書きます。顧客DB開発に関与=知識悪用し防止措置解除—派遣SE、逮捕状請求へ・警視庁 - WSJ 外部業者から派遣されているシステムエンジニア(SE)の男が、情報が流出したデータベース(DB)のシステム開発に関…

企業経営とクラウド[追記あり]

こういう抽象度の高い話もたまには。 近年、仮想化技術の発展と共にクラウドやXaaS(X as a Service)と呼ばれる概念が登場しました。"as a Service"というのは必要に応じてサービスされること、つまり、技術面ではスケーラビリティできることを意味し、ビジ…

アーキテクチャ設計に品質特性を使おう

アーキテクチャ設計をするうえで重要なのは「利害関係者の合意を得る」ことです。利害関係者全員の要件が全て理解できても、それぞれの要件には必ずトレードオフが存在します。すべて完ぺきに満たすことは不可能なので、トレードオフをバランスよく判断して…

エンタープライズから見たImmutable Infrastructure

Immutable InfrastructureとかDisposable ComponentsとかBlue-Green Deploymentが話題になってるみたいで。Immutable Infrastructureはアプリケーションのアーキテクチャを変えていく、伊藤直也氏(前編) - Publickey Immutable Infrastructureはアプリケ…

アーキテクトと要求もしくは技術について[追記あり]

2014年2月27日の要求開発アライアンス2月定例会で「アーキテクチャの発掘に見る要求変化の発見」、そして翌2014年2月28日にはEnterprise ☓ HTML5 Web Application Conference 2014で「JavaエンタープライズアーキテクチャにおけるHTML5」という講演をさせて…

ymsr君のこと

#ymsr との最後の会話はJJUG CCCの後の打ち上げで「席の周りの女子がかわいい」という話だった。出会いは10年ぐらいまえ、優秀で身体のでかいエンジニアだった。職場は机と机の間隔が狭くて、彼ともう一人のでかい男が背中合わせに座っていると隙間がなくな…

SIにおけるアジャイルとかウォーターフォールとか

取材を受けないとブログを書けないのは問題ですが、@ITの「特集:DevOpsで変わる情シスの未来」というのの第5回で「DevOpsというバズワードに流されないために」という話をさせていただいたので紹介を。特集:DevOpsで変わる情シスの未来(5):DevOpsという…

アジャイルがビジネス価値を作るわけじゃない - 改めて開発手法としてのアジャイル

"アジャイル"は単なる開発手法というだけでなく、その出自からして「ビジネス価値にコミットする」というような意味を含んでいるように思います。なので「アジャイルだけがビジネス価値を作ることができる」、その逆として「ウォーターフォールではビジネス…

ITS/BTSは進捗管理に使えるのか - SIの現場で使えるチケット駆動開発

2013年8月24日にグロースエクスパートナーズ主催にて「SIの現場で使えるチケット駆動開発」というセミナーを実施させて頂きました。「チケット駆動開発」の共著者である阪井誠さん(@sakaba37)をお招きしたものです(togetter)。僕は基調講演で「チケット…