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ITアーキテクト 鈴木雄介のブログ

マイクロサービスに次に来るかもしれない言葉について

2021年9月18日に開催されたXP祭り2021で「マイクロサービスに至る歴史とこれから」という講演をしました。資料は次の通りです。本来は75分ぐらいかかるのを45分で話そうとして、余裕で時間オーバーしてすみませんでした。


テクノロジーとテクニックによる進化の流れ

テクノロジーやテクニックは、ITの改善サイクルを向上させるために進化を続けています。「技術そのもの」であるところのテクノロジーに対して、テクニックというのは「人による技術の活かし方」を示します。なので、基本的にはテクノロジーが生まれ、それを使いこなしたテクニックが登場することになります。

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フェアユースは認められたが、Googleは対価を支払うべき - Java API訴訟に寄せて

ようやく裁判の結果が出ました。結果としてフェアユースが認められたのはよかったのですが、Googleが勝訴したということは素直に喜べないので、その理由を書いておきます。

関連ニュースは、こういったところから。
約1兆円の賠償金を巡るGoogleとOracleの10年にわたる訴訟が決着、「APIのコピー」は結局違法なのか? - GIGAZINE
Google、オラクルの著作権侵害せず 米最高裁判決: 日本経済新聞
グーグル、米最高裁でオラクルに勝訴--「Android」Javaコード訴訟で - CNET Japan

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JJUG CCC Fall 2020をオンラインで開催しました

ちょっと時間が経ってしまいましたが、2020/11/7にJJUG CCC 2020 Fallをオンラインで開催しました。オンラインでのイベント開催は、まだ世の中にもノウハウがないと思うので公開報告です。

JJUG CCC 2020 Fall 会場タイムラプス

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やるべきことをやる、壁を越える #devsumi 2020

久しぶりのデブサミで、世界最高の靴売場をシューカウンセラーとともにデジタル変革してみた という講演をしました。

ともにつくる

2019/10から三越伊勢丹グループの(株)アイムデジタルラボで取締役(Graatとは兼務)として仕事をしています。会社設立&取締役就任のきっかけであったプロダクト(YourFIT 365)が落ち着いてきたので、その成果の発表場所を探していました。

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2040年問題とITエンジニア - DevLOVE Xに寄せて

エモいことで有名なDevLOVEの10周年記念イベントDevLOVE X 〜 それぞれの10年、これからの10年 〜で「エンタープライズアーキテクチャアジャイルのこれから」という講演をしてきました。資料は以下。

Togetter - #DevLOVEX 鈴木 雄介「エンタープライズ、アーキテクチャ、アジャイルのこれから」 #DevLOVEXC Day2-7C

10年間の振り返り

10年間の振り返りとして10年前に書いた記事や講演資料をみたのですが、わりと一貫していて安心しました。たとえばクラウドを超えた先の企業システム像 20091008 JJUG CCC では、

・インターフェースによる分業
  ーマルチパラダイム
   ・個々のシチュエーションでは1つの最適な道具(パラダイム

って、まさにマイクロサービスのことだし。日経SYSTEMS 2009年2月号の特集1「10年後も通用するスキル」では、(都合良く考えると)DevOps、アジャイル開発、マルチクラウドのようなことを示唆しています(手元の最終提出原稿なので、掲載原稿ではありません)。

クラウド・プラットフォームは,サーバーリソース,サービス管理機能,それらのスケーラビリティや安定性など,サービス提供に必要な機能や機構を提供するものだ。ITエンジニアはクラウド・プラットフォーム上で開発を行うことで、簡単にサービスを提供できるようになる。
<中略>
 10年後のITエンジニアは,このクラウド・プラットフォームを利用したり,他人が開発したサービスを組み合わたりして,ユーザーの求めるサービスを作っていくようになると筆者は考える。
 ではそのとき,ITエンジニアに必要なスキルはどう変わるのか。筆者は,ITエンジニアにとって重要な「問題発見」「課題解決」の二つのスキルが大きく変わってくると予測する(図2)。
 例えば問題発見スキル。現在のシステム開発では,高品質・高性能を追求するのが一般的だ。しかし,インターネット上の複数のモジュールを組み合わせるサービス開発では,そもそも品質や性能を一定に保つことが難しい。ユーザーの抱える問題を的確に発見し,ユーザーの求める品質や性能のレベルがどのあたりにあるのか,確かめることが重要になる。
 作るべきものを決めて手順通りに作業を進めるという課題解決スキルも変わってくる。短いサイクルでサービスを提供しているとユーザーから頻繁にフィードバックがある。よいサービスを提供するためには、常に改善をしていかなくてはいけない。こういった場合に発生する多数の課題について優先度を付けながら解決をしていかなくてはいけない。

2040年問題

さて、未来のことを考えるのに、わりと確定した未来として2040年問題を取り上げました。2040年は団塊ジュニア世代が高齢者(65歳)になる年で、高齢者数が最も多くなると予測されています。総人口は減少傾向なので、社会保障の維持、労働力の減少、地方の低密度化など、様々な社会問題が指摘されています。僕は1975年生まれなので、まさに2040年には65歳になるという世代です(参考:pdf 今後の社会保障改革についてー2040年を見据えてー)。

この解決にむけた提言に多く含まれるのがIT活用です。社会保障は原資が生産年齢人口で確定されるため、配分の最適化がポイントです。このためには正確なデータ収集が重要です。たとえばオンライン資格確認という取組みはマイナンバーカードを健康保険証代わり(2021年度5月開始予定)にするものですが、これによって薬剤情報、医療費情報、特定健診データを正確に収集できるようになります(参考:PDF オンライン資格確認等システムの検討状況)。

また、そもそも健康維持が一番よいわけで、病気の兆候を早期発見するためにAI導入やセンサー導入といったことも必要です。さらに介護業務や保育業務の効率化といったことも含まれます(参考:PDF 社会保障ワーキング・グループの会議資料 参考 医療・福祉サービス改革

ITエンジニアのすべきこと

こうした取組みの阻害になると思うのは、いま社会を支えている企業におけるIT活用センスのなさです。残念ながらITを個別の道具としてしかとらえておらず、社会全体の良い方向にむけるITサービスを実現する、といった視点に欠けます。

2040年というと20年後です。20年後に問題が解決されているには、どう遅くても10年ぐらいで、この視点を持ってもらわないといけない。われわれITエンジニアこそ、こうしたセンスを磨き、古臭い企業の論理に屈することなく、現場でより良いサービスの実現に寄与すべきです。

幸い、多くの企業では問題に気づきつつありますし、現場にいる非IT人材も優秀です。デジタルトランスフォーメション(DX)というのが、それを象徴する言葉です。これをバズワードにしないようにしないといけません。

最近、僕が提言しているようなのは以下のようなことです。

小さいことを積み重ねる

エモい名言で有名なイチローが2004年にNBA年間最多安打を更新した時の言葉です。

いま、小さなことを多く積み重ねることが、とんでもないところへ行くただひとつの道なんだなというふうに感じています

2040年問題が解決した未来は「とんでないないところ」でしょう。そこに至るのは簡単ではありません。では、何をすべきかといえば「いま、小さなことを多く積み重ねる」しないのです。個別の現場で、より良いと思えることを1つでも積み重ねる。そういう積み重ねでしか世の中は変わらないと思います。

さあ、個別の現場で頑張りましょう!そして、色々な形で交流していきましょう。ぜひ、気軽に声をかけてください。

Graat始めました。

本日2018年11月1日、Graatグラーツ)を設立し、代表取締役社長に就任しました。社名はグロース・アーキテクチャ&チームス株式会社です。

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これまでの活動とは特に変わらず、アーキテクチャ設計やエンタープライズアジャイル開発周りの仕事をしていきます。設立1日目の想いを記事にしてありますので、ご興味のある方はどうぞ。

www.graat.co.jp

このブログも個人のエントリとしては書いていきますが、会社のブログのほうがまめに書くようになるはずです...。引き続き、よろしくお願いいたします。

エンタープライズアジャイルとNoOpsとマイクロサービス

最近、以下の2つの講演をしました(資料は記事末に貼っておきます)。

エンタープライズアジャイルでチームが超えるべきこと」(2018/10/17) エンタープライズアジャイル勉強会 2018年10月セミナー
「MicroserviceでのNoOps戦略」(2018/10/26)NoOps Japan Community NoOps Meetup Tokyo #2

アジャイルとNoOps(DevOps)というのは実装を挟む両輪なので、話は違えど、目的は同じです。
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現在のITサービス(特にSoE/mode2)において大事なことは「素早く届け、素早くフィードバックを反映し、また届ける」というサイクルです。これを高速にしていくためには

  • アジャイルのような短期タイムボックス型でのタスク管理
  • NoOps/DevOpsのような運用作業の事業化

という両輪がなくてはならないものでしょう。

そして、これらの概念を統合するのは「マイクロサービス」という言葉です。言葉が拡がるきっかけとなった記事「Microservices」ではマイクロサービスを示す9個の特徴が挙げられていますが、いかの3つの観点が含まれていることが分かります。

  • サービス分割、API連携、分散データ管理、進化的設計など実装面
  • チーム構成、プロダクト思考、脱中央集権などの組織面
  • インフラ自動化、対障害設計などの運用自動化面

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マイクロサービスについては、来週11/2はAWS Dev Day Tokyo 2018でマイクロサービス化デザインパターンという話をさせていただきます。マイクロサービスはいきなり完成形でシステムができあがるものではなく段階的に「マイクロサービスになっていく」ものです。なので「マイクロサービス"化"」という言葉を使っています。

もちろん、全体の土台となるのはアーキテクチャ設計です(僕の中心はここ)。今月10/12には翔泳社アーキテクチャ設計実践講座(10/12)というワークショップ型のセミナーを開催しました。これは、また来年早々に開催する予定なので日程が決まればお伝えします。

相変わらず、色々、散らかっているようで繋がった話をしているつもりなのでお付き合い&フィードバックいただけるとうれしいです。
あ、僕が会長を務めさせていただいている日本Javaユーザーグループの1000人規模イベントJJUG CCC 2018 Fallは12/15(土)です!そろそろ、募集が始まるはず。