JavaOne2015のサマリ
2015/10/25-29日で行われたJavaOne 2015に参加してきました。
来年のJavaSE 9および再来年のJavaEE 8に向けた端境期であったこともあり、近年まれに見る発表要素の少ないJavaOneでありました。
特に初日のキーノートでは、Java 20周年であったことから、スコット・マクニーリがやらかしたので最低限のお祭り気分は維持されたものの、昨年からのアップデートも少なく、特筆すべき話題はありません。
キーノートで言いたい放題のスコット・マクニーリ
一方、最終日に行われたコミュニティキーノートはバック・トゥ・ザ・フューチャーを模した寸劇の連続で、2009年に遡れば「SUNがORACLEに買収されちゃった!どうしようJavaが有償になっちゃう!」とか「OSGiは古い、これからはJigsawだ。ORACLEなら2010年か2011年には仕様になるよ!」と言ってみたり、2004年に遡れば「Javaがオープンソース化されてOpenJDKができるだって!なんてSUNは素晴らしいんだ。これでどっかに買収されるなんところはなくて未来は安泰だね!」などなどコミュニティメンバーが言いたい放題で大いに盛り上がりました。
コミュニティキーノートの寸劇の最後は20年後の未来で暴れていたDukeを子供が救ったというハッピーエンドで(だから40周年おめでとう)。後はみんなで檀上に上がってケーキを食い尽くす
「さしたる発表もなかった。Javaは勢いがない」という意見もあるところですが、直前にORACLEがJavaエバンジェリストの解雇を発表したりと、Java全体としては明るい話題は少ない中でも「Javaの独立性は保たれている」という気概は現れていました。
以前も書いたように、ORACLEの良さは淡々とスケジュール通りにリリースするであり、コミュニティとの関係をうまく保ちながら前に進んでいると思います。昔のような派手さがないことは寂しい一方で、イベントとしてはモスコーニから少し離れたHiltonとParc55を根城に好きにやらせてもらっているのだと思います。
少し技術側からの話題を。
IT業界全体としてはIoTブームではありますが「サーバサイドとしてのJava」「タブレットや組み込みとしてのJava(含Android)」は、もはや語る必要もないほど活用されていることでしょう。「IoT」というキーワードは出るもののORACLEとして製品が出るわけでもなく、普通に「使われているよ」というアナウンス程度だった気がします。
IoTについては「機械の稼働状況を広く収集し分析してメンテナンスに役立てる(広く言えばF1も含めて)」という定番はあるものの、そこから踏み越えた事例が出てきていません。ようは「これまでの技術の組み合わせ」であり「個別のニーズが多岐に渡りすぎる」ことからソリューション化がしくくく「ベンダーとしてIoTで儲けるのは困難」という結果として言葉の勢いが落ち着いてくると思われます。
むしろ、AWSやAzureをはじめとしたクラウドサービスとしては「収集と分析」という部分で強みを発揮しており、ここで乗り遅れているORACLEは存在感を発揮しきれていません。OOWではクラウドサービスの発表もあり、JavaOneでも「ORACLE CloudでJava」という内容は何度かは出てくるのですが「推してます!」というよりは「こういうものありますので…」程度のものでした。
JavaOneにおける僕の観測範囲では「DevOps」や「API」を基軸にした技術が注目だったのですが、そちらは別記事にて。
いずれにせよ、来年はJavaSE 9のリリースと合わせてJavaOneが開催されます。まだ、何が入るのかは議論の余地があるところですので続報を見ながら楽しみに待ちたいと思います!
お約束のトレジャーアイランドでのパーティ